補助金申請における事業計画書の作り方・書き方の例を紹介しています。

1 補助金事業計画の作り方

 経済産業省の補助事業をはじめとする補助金を受けるためには、事業計画書を提出することとなります。この事業計画書の出来が採否に大きく影響します。
 弊社で事業計画を作成する場合に注意している点について、今回ご紹介いたします。

*あくまでも弊社の考え方に基づくものであり、これをもって補助金の採択を保証するものではございません。なお、中小企業の事業計画を想定したものです。

2 事業計画書作成のポイント

 すばらしい事業計画であっても、計画書において必要事項が抜けていたり、内容が伝わらなかったりしたら意味がありません。
 必要事項を踏まえて、読み手(審査員)を意識した事業計画書づくりがポイントになります。

3 ストーリー

弊社が事業計画書を作成する場合に注意していることは一貫性です。一貫性を持たせるためにストーリーを重視しています。
多くの事業計画では、あるべき姿とそれを実現するための課題を明確にして、課題の解決方法を提案する内容となります。

具体的には、次のストーリー構成にするとわかりやすくなります。

・現状把握
・あるべき姿の明示
・課題の抽出
・課題解決の手段
・事業の効果
・将来展望
・収支計画

3-1 現状把握

 まず始めに現状の説明をします。特にこれまでどのような事業に取り組んできたのか、どのような強みがあるのか、といった内容を説明します。
大企業と違って、読み手はこの事業計画を通じて初めてその企業のことを知ることとなるわけです。読み手は個別の中小企業ことは知らないと思ってください。

3-1-1 企業概要

自社がどのような企業であるのかを説明します。
初めてみなさんの企業を知る人に対して行う説明です。
顧客は誰なのか、提供している価値は何か、その価値をどのように提供しているのかを簡潔に表現します。

3-1-2 強み・弱み

自社の強み・弱みについて、どこに強みがあるのか、どこに弱みがあるのかを客観的に示します。
製品・商品・サービス、価格、提供方法、流通システムなど、さまざまな角度から分析します。
主観ではなく、他者と比較するなど客観的に示すことが重要です。
補助金の申請の場合においては、実施する補助事業との関連する強み・弱みを記載すると後のストーリーとの一貫性が生まれます。

3-1-3 機会・脅威

法改正や政治的な動向、経済動向、人口動態や社会的な価値の変化、技術革新などさまざまな視点で分析します。
中小企業においては、市場動向を捉えることと、より身近な顧客の動向や競合他社の状況について把握しましょう。

3-1-4 今後の見通しと新たなニーズ

強み・弱み、機会・脅威から見えてくる今後の見通しを示します。
収益の見込みなど現状の事業についての経営状況の見通しと、新たなニーズの有無を明確にします。
現状の事業の見通しが良いのか、良くないのか、新たなニーズを捉えることでそれがどのように影響するのかを簡潔に表します。
これにより新しい事業が必要であることを主張します。

3-2 あるべき姿の明示

 現状把握を踏まえて、本来あるべき姿(ありたい姿)を検討します。
 補助事業の目的にもよりますが、社会や地域、業界などの視点と、自社の視点で明らかにします。

3-3 課題の抽出

 あるべき姿を実現するためには、どのような課題があるのか明確にします。
 自社の取り組みに足りないものが何なのか、現状の経営資源等では実現ができていない理由を説明します。
 足りない部分について補助事業の支援を受けることとなります。

3-4 課題解決の手段

 課題が明確になったら、その課題を解決するために何が必要なのかを説明します。
 ここが補助を受ける対象になります。
「これがあれば課題が解決できる。だから補助を受けたい。」という構成です。

 この課題解決の手段は、さまざまな角度から提示する必要があります。経営資源ごと、例えば人材はどれくらい必要でどのような組織体制で実施するのか。どのような施設や設備を導入して、これまでのものとの連携においてより効果的な活用となるのか、資金の調達方法や現状の財務状況で実現することが可能であるか。社内だけでなく、仕入や販売も含めた社外の協力体制が構築されるのかなど、総合的かつ具体的に計画を行い実現可能性が高いことを示します。

3-5 事業の効果

 課題が解決した場合、あるべき姿が実現され、その結果として具体的な変化を予測します。
具体的にというのは、定量化するということです。
あるべき姿が実現されたことによる売上高や利益への影響はもちろんのこと、これまでの状態からの変化(増減)によって、何がどう変わるのかわかりやすく表現します。

 なお、ここでは事業として成立するのかという事業性も問われることとなります。課題解決した結果、市場に受け入れられるかを説明する必要があります。

3-6 将来展望

課題が解決された後、社会や地域、業界を含め、自社への影響だけでなく中長期的な将来、どのように波及するかを予測します。
補助金は公金であるため、社会への波及効果が必要であると考えます。
上記を踏まえ、具体的な事業化について言及します。

3-6-1 ユーザー

補助事業で生まれた価値を享受するのが誰なのか、具体的なユーザーを明示します。
例えば補助事業により製造された製品やサービスが欲しいユーザーではなく、その製品等によりどのようなニーズを満たすのかを明確にすることで想定されるユーザーがわかりやすくなります。

3-6-2 マーケット

想定ユーザーが存在する市場規模を明らかにします。
マクロの視点とミクロの視点で記述することが望ましいといえます。
そして、その市場を選択したのか説明します。

3-6-3 他社との優位性

想定するマーケットにおいてユーザーに選ばれるためには、他社と比較した優位性が求められます。
顧客価値からの優位性として、経済性、便利性、快適性、趣味・嗜好性、快楽性などの視点から優位性を説明します。
優位性について、他者との比較や、過去または現状との比較することが重要です。

3-7 収支計画

補助事業を行った結果、収支がどのように推移するのか予測を行います。
概ね3~5年の収支計画を策定することが多いです。

3-7-1 売上高

客数と客単価から売上高の予測を行います。
客数については市場に対してどのようなアプローチをすることでその客数が獲得できるのか検討を行った上で予測します。
客単価はコストや需要、競争といった視点で合理的な価格設定を行うとともに、1顧客との想定される取引状況を踏まえ検討します。

3-7-2 原価

原価については材料費、外注費といった変動費と、人件費、減価償却費などの固定費に分けて検討します。
材料費や外注費については、売上高に対する割合で算出し、人件費やその他の経費は実際に係るであろう経費を記載します。
減価償却費は定率法または定額法で計算した額を計上します。

3-7-3 販売費及び一般管理費

補助事業によって増加する経費を中心に記載します。
例えば販売活動において、広告宣伝費が増加する場合など、いつの時点でどのような方法によりプロモーションを行うのかによって経費額が変わってきます。
減価償却費は前述のとおり定率法または定額法で計算した額を計上します。

3-7-4 人件費

原価と販売費及び一般管理費のうち、とりわけ人件費については、製造活動または営業活動のために増員するなどの事由がある場合、いつの時点で何人増加するのか、一人当りの賃金総額とそれに対する法定福利費を検討します。

4 補助金のための事業計画ではない

 これまで見ていただいたストーリーに基づく事業計画の策定方法は、実は補助金を受けるためだけのものではありません。

 本来、何らかの事業を進めるにあたっては事業計画を立てます。例えば投資が必要となる事業であればその投資効果を事前に予測するはずです(そうでなければ大きな投資はできません。)。
 その事業計画を策定するにあたっての考え方を今回示したものです。

 補助金がもらえるから事業計画をつくるということではなく、新たな事業を行うにあたり事業計画を策定し、それが補助事業に合致しているという視点で事業計画の策定に取り組まれることを望んでおります。

5 負担軽減のご案内

制度を活用するにあたり、事前に事業計画(賃金計画などの人事計画を含む)の策定や内部規定の整備が必要となります。
それらへの対応には士業をはじめとしたコンサルタントなどの専門家の活用が有効です。
専門家利用について、他の制度を利用することで負担が軽減される可能性があります。
弊社には経営コンサルタント(中小企業診断士)のほか、社会保険労務士、行政書士が在籍しており多方面から負担軽減の提案をさせていただいております。

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最終更新日:2022/1/3