「働く女性応援」中小企業認証の認定要件

「働く女性応援」中小企業認証の認定要件は、次の1~5の要件の中で、2つ以上該当していることが求められています。
それぞれの項目について説明いたします。

1 長時間労働の解消に取り組んでいる企業
次のア~エのうち、実績が1つ以上ある。

ア 前年度において週労働時間が60時間以上の労働者の割合が5%以下である
イ 前年度の年次有給休暇取得率が60%以上である
ウ 所定労働時間を削減するための措置をとっている
エ 時間単位の年次有給休暇制度を導入している

2 女性が働きやすい企業
次のア~エのうち、実績が1つ以上ある。

ア 係長相当職以上に占める女性の割合が20%以上である
イ 前年度において採用した労働者に占める女性の割合が20%以上である
ウ 女性の役員がいる
エ 結婚・出産・育児・介護等により離職した女性労働者を過去2年以内に再雇用した

3 多様な働き方を選べる企業
次のア~オのうち、実績が1つ以上ある。

ア 短時間勤務制度
イ 所定外労働をさせない制度
ウ フレックスタイム
エ 始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ
オ 在宅勤務制度

4 従業員の家庭生活への参加を促進している企業
次のア~オのうち、申請時から過去2年以内に利用実績が1つ以上ある。

ア 育児休業(2週間以上)
イ 介護休業
ウ 子の看護休暇
エ 介護休暇
オ 配偶者の出産時の特別休暇(男性労働者のみ)

5 働きやすい職場環境づくりに取り組むことを宣言している企業
次のア、イのうち、実績が1つ以上ある。

ア イクボス宣言をしている
イ 健康事業所宣言をしている

1-ア 前年度において週労働時間が60時間以上の労働者の割合が5%以下である

各企業の事業年度を基準とした前年度において、1年間の総労働時間から週労働時間が60時間以上となる労働者の割合を判断する項目です。
1年間の総労働時間が3,128.6時間以上の従業員の割合が5%以内であればポイントとなります。

1-イ 前年度の年次有給休暇取得率が60%以上である

各企業の事業年度を基準とした前年度の年次有給休暇の取得率を確認する項目です。
繰越日数を含まない年次有給休暇の付与日数のうち取得された日数の割合で判断することとなります。

1-ウ 所定労働時間を削減するための措置をとっている

ノー残業デー、年次有給休暇の計画的付与制度、時間外労働協定における延長時間の短縮等が取組例として想定されます。
所定労働時間短縮のために所定の時間になると自動でシステムがダウンする取組などさまざまな取組が該当すると考えられます。
所定労働時間短縮のための取組みを見直してみましょう。

1-エ 時間単位の年次有給休暇制度を導入している

時間単位の年次有給休暇は、労使協定により採用することができます。制度の導入をポイントとしており、就業規則等で制度を定めることが求められます。
また、10人未満の事業所など就業規則を整備していない場合においても、労働条件の絶対的明示事項になっているため労働契約書等により明らかになっていることが想定されます。

2-ア 係長相当職以上に占める女性の割合が20%以上である

申請時に役職に就いている女性の割合を評価する項目です。
係長相当職以上の人数に占める女性割合を算出します。
係長相当職の定義はさまざまであると考えられますが、少なくとも組織の係単位においての管理者であることなど、役職として明確になっていることが求められます。

2-イ 前年度において採用した労働者に占める女性の割合が20%以上である

各企業の事業年度を基準とした前年度の女性採用者数を評価する項目です。
新規学卒者と中途採用者を合わせた採用実績より、当該採用者における女性の割合を算出します。

2-ウ 女性の役員がいる

取締役、会計参与、監査役、執行役、理事、監事などが役員としてあげられています。
実質的に企業の経営に従事していることが必要です。
女性役員が企業経営にどにように関与しているか説明が求められます。

2-エ 結婚・出産・育児・介護等により離職した女性労働者を過去2年以内に再雇用した

申請時から起算して過去2年以内に育児や介護を理由として退職した女性労働者を採用した実績について評価される項目です。
退職前に雇用していた同一企業において再雇用することが要件となっています。関連会社等による再雇用ではありません。
なお、退職者の前職と同じ職務であることや、再雇用後の雇用形態(正規雇用・非正規雇用)は問われていません。

3-ア 短時間勤務制度

育児・介護休業法で定める所定労働時間の短縮措置の実績が評価されます。
育児・介護休業法では、3歳に満たない子を養育する労働者について、労働者が希望すれば利用できる短時間勤務制度(原則として1日6時間とする措置を含む)を講じる必要があるとしています。また、常時介護をする対象家族を介護する労働者が、就業しつつ介護を行うことができる措置として、所定外労働の短縮等の措置を講じる必要があります。
ここでいう所定労働時間の短縮措置は、子どもがケガをした、あるいは介護を必要とする家族の具合が悪くなったため早退するような一時的な措置ではありません。
育児・介護短時間制度申出書や、育児・介護短時間勤務取扱通知書、出勤簿・タイムカードにより実績を証明します。

3-イ 所定外労働をさせない制度

育児・介護休業法で定める所定外労働の制限措置の実績が評価されます。
3歳に満たない子を養育する労働者が請求した場合において、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、所定労働時間を超えて労働させてはならないとされています。また、要介護状態にある対象家族を介護する労働者が請求した場合において、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、所定労働時間を超えて労働させてはならないとしています。

3-ウ フレックスタイム

3歳までの子を養育する労働者であって現に育児休業をしていない者については、所定労働時間の短縮等の措置を講じる必要があります。
また、要介護状態にある家族を介護する者についての措置としても同様に所定労働時間の短縮等の措置が求められています。
フレックスタイム制は、一定の期間の総労働時間をあらかじめ定めておき、労働者がその範囲内で各日の始業・終業時刻を選択して働くことができる制度です。育児・介護休業法で定める所定労働時間の短縮措置のひとつであり、柔軟な労働時間の設定が可能です。
始業・終業時刻、休憩、休日に関する定めについては、就業規則の絶対的記載事項に該当するため、就業規則において確認することができます。
また、10人未満の事業所など就業規則を整備していない場合においても、労働条件の絶対的明示事項になっているため労働契約書等により明らかになっていることが想定されます。

3-エ 始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ

3歳までの子を養育する労働者であって現に育児休業をしていない者については、所定労働時間の短縮等の措置を講じる必要があります。
また、要介護状態にある家族を介護する者についての措置としても同様に所定労働時間の短縮等の措置が求められています。
所定労働時間を変えず、始業・終業時刻を繰り上げ、または繰り下げる制度は、所定労働時間短縮等の措置の一つとされています。
育児・介護短時間制度申出書や、育児・介護短時間勤務取扱通知書、出勤簿・タイムカードにより実績を証明します。

3-オ 在宅勤務制度

テレワークなどの在宅勤務制度が該当します。
週1、2日のみなどの部分的な在宅勤務を含みます。
在宅勤務制度の規定と、日報等により利用実績を証明します。

4-ア 育児休業(2週間以上)

申請時から過去2年間の育児休業制度の利用実績を確認します。
育児休業は、育児・介護休業法で定められている原則として出生日から1歳に達する日までの間でとることができる休業をいいます。
2週間以上の育児休業期間が対象となります。
育児休業申出書や、育児休業取扱通知書、出勤簿・タイムカードにより実績を証明します。

4-イ 介護休業

申請時から過去2年間の介護休業制度の利用実績を確認します。
介護休業は、育児・介護休業法で定められている、要介護状態にある家族を介護するためにとることのできる休業をいいます。
介護休業申出書や、介護休業取扱通知書、出勤簿・タイムカードにより実績を証明します。

4-ウ 子の看護休暇

申請時から過去2年間の子の看護休暇の利用実績を確認します。
子の看護休暇は、育児・介護休業法で定められている、小学校就学前の子を看護するためにとることができる休暇をいいます。
子の看護休暇は、対象となる子が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として年次有給休暇とは別に取得することができます。
子の看護休暇申出書や、出勤簿・タイムカードにより実績を証明します。

4-エ 介護休暇

申請時から過去2年間の介護休暇の利用実績を確認します。
介護休暇は、育児・介護休業法で定められている、要介護状態にある家族を介護するためにとることができる休暇をいいます。
介護休暇は、対象家族が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として年次有給休暇とは別に取得することができます。
介護休暇申出書や、出勤簿・タイムカードにより実績を証明します。

4-オ 配偶者の出産時の特別休暇(男性労働者のみ)

男性従業員が、配偶者が出産したときにとることができる制度があるか、また、その制度を利用した実績があるかを評価する項目です。
休暇に関する定めについては、就業規則の絶対的記載事項に該当するため、就業規則において確認することができます。
また、10人未満の事業所など就業規則を整備していない場合においても、労働条件の絶対的明示事項になっているため労働契約書等により明らかになっていることが想定されます。
就業規則等で制度を制定し、休暇取得申出書や、出勤簿・タイムカードにより実績を証明します。

5-ア イクボス宣言をしている

「イクボス」とは、職場で共に働く部下・スタッフのワークライフバランス(仕事と生活の両立)を考え、その人のキャリアと人生を応援しながら組織の業績も出し、自らも仕事と私生活を楽しむことのできる経営者・管理職をいいます。
福島県では宣言届出制度があり、当該制度を利用することが望ましいと考えます。

5-イ 健康事業所宣言をしている

健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することで従業員の健康の維持・増進と会社の生産性向上を目指す経営手法をいいます。
協会けんぽなどが行う健康事業所宣言をはじめとして、経済産業省が行う健康経営優良法人認定制度、ふくしま健康経営優良事業所認定制度など、健康経営に関する制度があります。

最終更新日:2021/12/30