雇用保険に加入している事業所の事業主は、雇用の安定、職場環境の改善、仕事と家庭の両立支援、従業員の能力向上などの取り組みに対して、助成金が受けられることがあります。

【目次】
1 雇用労働関係助成金の特徴
2 受給できる事業主・受給できない事業主
3 中小企業の範囲
4 その他留意事項

1 雇用関係助成金の特徴

雇用関係助成金の主な特徴を説明します。

1-1 返還不要

助成金は国の施策を実現するために支給されるものです。
特に雇用関係の助成金は、雇用の安定、職場環境の改善、仕事と家庭の両立支援、従業員の能力向上などを目的として支給されています。

1-2 財源は労働保険料

雇用関係助成金は、企業が支払っている労働保険料の一部を財源としています。
労働保険料を支払うだけでなく、助成金として有効活用することが可能です。

1-3 要件がある

企業が国の施策に基づき何らかの取組みを行った場合に発生した費用の一部を助成するものです。
その取組みごとの要件があり、要件を満たした場合に助成金の対象事業となります。
また、かかった費用の一部を助成するものであり一部は自社負担となります。

2 受給できる事業主・受給できない事業主

2-1 受給できる事業主

雇用関係助成金には、各助成金の要件を満たすほか、次の要件のすべてを満たすことが必要です。

  • 事業所が雇用保険に加入していること
  • 支給のための審査に協力すること
  • 審査に必要な書類等を整備保管していること
  • 審査に必要な書類等を審査機関等より求められた場合に応じること
  • 審査機関等の実地調査を受け入れること
  • 申請期間内に申請を行うこと
  • 労働関係法令に違反していないこと

 

2-2 受給できない事業主

また、次のいずれかに該当する事業主は雇用関係助成金を受給することができません。

  • 偽りや不正行為によって助成金を受け、または受けようとして取消処分を受け一定期間を経過していない
  • 不正受給に関与した役員等がいる
  • 労働保険料の納付の状況が著しく不適切である、つまり著しい滞納をしている
  • 性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業、またはこれら営業の一部を受託する営業を行っている
  • 暴力団等との関りがある
  • 支給申請日または支給決定日の時点で倒産している
  • 不正受給が発覚した際に都道府県労働局等が実施する事業主名等の公表について、あらかじめ承諾していない

 

2-3 不正受給の措置

不正受給をした場合、または不正受給をしようとした場合には厳しい処分が課されます。

  • 助成金の返還と返還する助成金の上乗せ額の返還が必要となります。
  • 不正受給による不支給決定日または支給決定取消日から起算して5年間は助成金を受けられません。
  • 告発されることがあります。
  • 不正受給者として事業主名等が公表されます。

※詳細はお問合せください。

3 中小企業事業主の範囲

雇用関係助成金には、中小企業と中小企業以外とで助成内容が異なるものがあります。中小企業の範囲は次のとおりとなっています。

原則として、次の「資本金の額・出資の総額」か「常時雇用する労働者の数」のいずれかを満たす企業が「中小企業」に該当します。

産業分類 資本金の額・出資の総額 常時雇用する労働者の数
小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

 

4 その他留意事項

雇用関係助成金に関してのその他の留意事項は次のとおりです。

  • 提出した支給申請書、添付資料の写しなどは、支給決定されたときから5年間保存しなければなりません。
  • 同一の雇入れ・訓練を対象とした2つ以上の助成金が同時に申請された場合や、同一の経費負担を軽減するために2つ以上の助成金が同時に申請された場合には、双方の助成金の要件を満たしていたとしても、一方しか支給されないことがあります。
  • 雇用関係助成金の支給・不支給の決定、支給決定の取消しなどは、行政不服審査法上の不服申立の対象とはなりません。

最終更新日:2020/10/20