えるぼし認定制度

えるぼし認定基準

目次

0 用語の定義

認定基準を評価するにあたっての留意点として用語の定義「雇用管理区分」と「直近の事業年度」について解説します。

0-1 雇用管理区分

「雇用管理区分」とは、職種、資格、雇用形態、就業形態等の労働者の区分であって、当該区分に属している労働者について他の区分に属している労働者と異なる雇用管理を行うことを予定して設定しているものをいう。雇用管理区分が同一化の判断にあたっては、従事する職務の内容、人事異動(転勤、昇進・昇格を含む)の幅や頻度において他の区分に属する労働者との間に、客観的・合理的な違いが存在しているかによって判断する。

 

例えば次のような雇用管理区分が考えられます。

  • 総合職(事務系)、総合職(技術系)
  • 一般職(事務系)、契約社員、パートタイム労働者
  • 総合職、エリア総合職、一般職
  • 事務職、技術職、専門職、現業職 など

 

えるぼし認定、プラチナえるぼし認定を受けるにあたって、「採用」「継続就業」「労働時間等の働き方」の基準においては、雇用管理区分ごとに把握を行うことが必要であるとされています。

雇用管理区分ごとに算出する場合において、属する労働者数が全労働者数の1割程度に満たない雇用管理区分がある場合は、職務内容等に照らし、類似の雇用管理区分とまとめて算出して差し支えないという取り扱いがされています。ただし、正社員と非正規雇用など雇用形態が異なる場合には、まとめて算出することはできません。

職務の内容等に照らし、類似の雇用管理区分をまとめるにあたっては、賃金待遇やキャリアの見通し等に大きな違いがないものに限るよう留意することが求められています。

 

0-2 直近の事業年度

「直近の事業年度」とは、原則として、認定申請を行う事業年度の前の事業年度とする。

 

これは、必ずしも4月1日から翌年の3月31日とする必要はありません。各事業者の事業年度として差し支えありません。

直近の事業年度については、例えば事業年度が毎年10月1日から翌年9月30日までである事業者が、10月1日に認定申請をしようとした場合など、申請時に前の事業年度の数字を把握することが困難な項目については、前々事業年度までの数値等を用いることができます。

1 採用

女性の採用されやすさについての基準です。

次の1または2のいずれかに該当すること。

  1. 男女別の採用における競争倍率(応募者数/採用者数)が同程度であること。
    直近3事業年度の平均した「採用における女性の競争倍率×0.8」が、直近3事業年度の平均した「採用における男性の競争倍率」よりも雇用区分ごとにそれぞれ低いこと
  2. 直近の事業年度において、次のaとbの両方に該当すること。
    1. 正社員に占める女性労働者の割合が産業ごとの平均値(平均値が4割を超える場合は4割)以上であること。
    2. 正社員を基幹的な雇用管理区分における女性労働者の割合が産業ごとの平均値(平均値が4割を超える場合は4割)以上であること。

※正社員に雇用管理区分を設定していない場合は、aのみに該当すれば足りる。

 

競争倍率とは、「応募者数/採用者数」です。
例えば、10人の応募があり、そのうち2人しか採用されなかった場合は、「競争倍率は5倍」ということになります。

直近3年度について、女性の平均競争倍率の8割と、男性の平均競争倍率を比較し、女性の平均競争倍率の8割のほうが低ければ、基準を満たすこととなります。

 

上記のほか、(2)により基準を満たすことができます。

女性労働者の産業ごとの平均値は、厚生労働省ホームページ(女性活躍推進法特集ページ)に公開されています。

2 継続就業

女性が長期にわたって就業することを評価する基準です。

直近の事業年度において、次の1と2のどちらかに該当すること。

  1. 「女性労働者の平均勤続年数」÷「男性労働者の平均勤続年数」が雇用区分ごとにそれぞれ7割以上であること。
    ※期間の定めのない労働契約を締結している労働者に限る。
  2. 「女性労働者の継続雇用割合」÷「男性労働者の継続雇用割合」が雇用管理区分ごとにそれぞれ8割以上であること。
    ※継続雇用割合は、10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された労働者(新規学卒者等に限る。)のうち継続して雇用されている者の割合

★上記で算出することができない場合は、以下でも可

直近事業年度において、正社員の女性労働者の平均遺族勤務年数が産業ごとの平均値以上であること。

 

期間の定めのない労働契約を締結している労働者の勤続年数で判断します。

現在在籍している労働者の平均継続勤務年数を男女別に算出し比較します。

例えば、女性労働者の平均継続勤務年数が5年、男性労働者の平均継続勤務年数が6年の場合、8割以上(0.83)となり基準を満たします。

 

また、継続雇用割合を算出することで評価することもできます。

「継続雇用割合」とは、対象事業年度から見て10事業年度前後およびその前後の事業年度に採用した労働者の数で、その労働者が現在も引き続き雇用されている者の数の割合をいいます。

例えば、9~11事業年度前に採用した労働者が30人、そのうち現在も在籍している人数が25人である場合、8割以上(0.83)となり基準を満たします。

 

上記の算出ができない場合、直近の事業年度において、正社員の女性労働者の平均勤続年数が産業ごとの平均値以上であることでも基準を満たすとされています。産業ごとの平均値については、厚生労働省ホームページ(女性活躍推進法特集ページ)で確認することができます。

3 労働時間等の働き方

長時間労働が行われていないことを評価する基準です。

雇用管理の区分ごとの労働者の法定時間外労働及び法定休日労働の合計時間数の平均が、直近の事業年度の各月ごとに全て45時間未満であること。

 

次の1または2によって、直近事業年度について各月ごとに判断します。

  1. 「各月の対象労働者※1,2の(法定時間外労働※3+法定休日労働※3)の総時間数の合計」÷「対象労働者」
  2. 「各月の対象労働者の総労働時間数※3の合計」ー「各月の法定労働時間の合計(40×各月の日数÷7)×対象労働者数」÷「対象労働者数」

 

1の場合

例えば、所定労働時間が8時間であれば8時間を超える時間について、毎週日曜日が法定休日である場合、日曜日に労働した時間について、月ごとに確認し集計します。

上記で集計した時間について、対象となった労働者数で割って、一人・月当たりの時間外労働及び休日労働の時間数を算出し、その時間が45時間未満であれば要件を満たします。

 

2の場合

例えば、ある月の労働者10人全員の総労働時間数が2000時間で、その月の法定労働時間が1700時間であった場合、1人当たり時間外労働・休日労働時間数は30時間((2000時間ー1700時間)÷10人)となります。

 

※1「対象労働者」は、次の労働者を除きます。

・事業場外みなし労働時間制の適用を受ける労働者(労働基準法第38条の2)
・専門業務型裁量労働制の適用を受ける労働者(労働基準法第38
条の3)
・企画業務型裁量労働制の適用を受ける労働者(労働基準法第38条の4)
・管理監督者(労働基準法第41条)
・高度プロフェッショナル制度の適用を受ける労働者(労働基準法第41条の2)

※2「各月の労働者数については、当該月の初日から末日まで従事した労働者をカウントします。

※3 各月の「法定時間外労働」、「法定休日労働」、「総労働時間」については、当該月の初日から末日まで従事した労働者の「法定時間外労働」、「法定休日労働」、「総労働時間」をカウントします。

4 管理職比率

管理職に占める女性労働者の割合を評価する基準です。

次の1と2のいずれかに該当すること。

  1. 直近の事業年度において管理職に占める女性労働者の割合が産業ごとの平均値以上であること。
  2. 「直近3事業年度の平均した1つ下位の職階から課長級に昇進した女性労働者の割合」÷「直近3事業年度の平均した1つ下位の職階から課長級に昇進した男性労働者の割合」が8割以上であること。

 

用語の定義

さまざまな用語の定義がされています。

(1)管理職

「課長級」と「課長級より上位の役職(役員を除く)」にある労働者をいいます。

(2)課長級

以下のいずれかの者が該当します。

・事業所で通常「課長」と呼ばれている者であって、2係以上の組織からなり、若しくは、その構成員が10人以上(課長含む)の長
・同一事業所において、課長の他に、呼称、構成員に関係なく、その職務の内容及び責任の程度が「課長級」に相当する者(ただし、一番下の職階ではないこと)

(3)産業ごとの平均値

雇用環境・均等局長が別に定める産業ごとの平均値。詳細は厚生労働省ホームページ(女性活躍推進法特集ページ)で確認することができます。

 

「2」の評価方法について

1つ下位の職階から課長級に昇進した労働者の割合をもとに男女の昇進格差を求めます。

「直近の事業年度に課長級に昇進した女性(男性)労働者の数」÷「直近の事業年度開始の日に課長級より1つ下の職階の女性(男性)労働者の数」

例えば、
直近の事業年度に課長級に昇進した女性労働者が1人
直近の事業年度開始日(例えば4月1日など)に課長級より1つ下の職階(例えば係長など)の女性労働者が5人

このような場合に、女性労働者の課長級への昇進割合は20%となります。
同じように男性労働者についても昇進割合を算出します。

直近3年度においての昇進割合を各年度ごとに算出し、その平均値を求めます。

※昇進にあたって、一定の勤続年数や、1つ下位の職階に昇進してからの滞留年数を要件としている場合は、分母(1つ下位の職階にある労働者総数)について、当該要件に該当する者に限定しても差し支えないものとされています。

4-2 管理職比率(プラチナえるぼし基準)

管理職に占める女性労働者の割合を評価する基準です。
えるぼし認定よりも高い基準が設けられています。

直近の事業年度において、管理職に占める女性労働者の割合が産業ごとの平均値の1.5倍以上であること。
ただし、1.5倍後の数字が、次の場合については、それを満たすこと。

  1. 15%以下の場合管理職に占める女性労働者の割合が15%以上であること。
    ※「直近3事業年度の平均した1つ下位の職位から課長級に昇進した女性労働者の割合」が「直近3事業年度の平均した1つ下位の職位から課長級に昇進した男性労働者の割合」以上である場合は、産業計の平均値以上で可。
  2. 40%以上の場合管理職に占める女性労働者の割合が正社員に占める女性比率の8割以上であること。
    ※正社員に占める女性比率の8割が40%以下の場合は、40%以上。

 

言葉の定義や昇進割合の算出方法は、えるぼし認定と同様です。

5 多様なキャリアコース

女性の正社員への転換実績や、多様な雇用形態についての評価項目です。

直近の3事業年度における次の項目について、大企業については2項目以上(非正社員がいる場合は必ずAを含むこと)、中小企業については1項目以上の実績を有すること。

  1. 女性の非正社員から正社員への転換
  2. 女性労働者のキャリアアップに資する雇用管理区分間の転換
  3. 過去に在籍した女性の正社員としての再雇用
  4. おおむね30歳以上の女性の正社員としての採用

 

「非正社員」には、派遣社員を含みます。

「短時間正社員」については、「正社員」に該当するものとします。

「短時間正社員」とは、他の正規型のフルタイムの労働者と比較し、その所定労働時間(所定労働日数)が短い正規型の労働者であって、次のいずれにも該当する者をいいます。

・期間の定めのない労働契約を締結している者
・時間当たりの基本給及び賞与・退職金等の算定方法等が同一事業所に雇用される同種のフルタイムの正規型の労働者と同等である者

6 その他の基準

上記、女性の職業生活における活躍の状況に関する実績に係る基準以外の基準が設けられています。

  1. 事業主行動計画策定に即して適切な一般事業主行動計画を定めたこと
  2. 策定した一般事業主行動計画について、適切に労働者への周知及び外部公表をしたこと
  3. 次のいずれにも該当しないこと
    • 認定取消又は辞退の日から3年を経過していないこと
    • 職業安定法第5条の5第1項第3号の規定により、公共職業安定所等が求人の申込みを受理しないことができる場合に該当すること
    • 女性活躍促進法及び女性活躍促進法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実があること
      (関係法令に違反する重大事実があった事業主については、是正等を確認してから1年間を経過していないこと)

 

※関係法令に違反する重大な事実とは、以下のもの等をいいます。

  • 男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、パート・有期雇用労働法、労働施策総合促進法に違反して勧告を受けたこと
  • 高年齢者雇用安定法、障害者雇用促進法または労働者派遣法の勧告に従わず企業名が公表されたこと
  • 労働保険徴収法に定められた労働保険料を直近2年度について滞納していること
  • 労働基準法および安衛法に違反して送検され、当該事案が公になったこと(なお、送検後、不起訴とされたことまたは裁判で無罪となったことを把握した場合は、当該要件に該当しないものとする)
  • 違法の長時間労働や過労死等が複数の事業場で認められ企業名が公表されたこと
  • 裁量労働制の不適正な運用が複数の事業場で認められ企業名が公表されたこと

最終更新日:2023/3/3