処遇改善加算経過措置の終了について(障害福祉サービス等事業所向け)

行政書士法人の前野です。

令和6年6月より福祉・介護職員等処遇改善加算(新加算)がスタートして、おおよそ9か月がたちました。また、新加算のスタートに伴い設けられた経過措置も令和7年3月末で終了しますが、皆様ご対応はお済みでしょうか?
お済みの方もまだの方も確認の意味でご一読いただければ幸いです。

さて、令和6年6月からこれまでの処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等加算が新加算に一本化されるにあたり、2つの経過措置が設けられましたが、それらが令和7年3月末で終了します。
経過措置を利用している事業所様はそれまでに社内制度の整備等の経過措置への対応をしておく必要がございます。
経過措置への対応が必要なケースは以下の2つです。

 

1.新加算Ⅴを取得している

新たに設定された新加算Ⅴは新制度に対応するための経過措置として設けられた制度ですので、特段の要件はありませんでした。よって新加算Ⅰ~Ⅳへ移行せずに現状のまま新加算Ⅴへ移行した事業所様もいらっしゃると思いますが、新加算Ⅴはあくまで一時的な措置でしたので、令和7年3月末で終了してしまいます。
これまで新加算Ⅴを取得されていた事業所様は社内制度を整備し、令和7年4月からは新加算Ⅰ~Ⅳのいずれかに移行する必要があります。

 

2.令和6年度中に対応の誓約をしている

新加算Ⅰ~Ⅳに移行するためにはキャリアパス要件等を満たす必要がありましたが、経過措置によりキャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系)、Ⅱ(研修の実施等)、Ⅲ(昇給の仕組み)については令和6年度中に対応する旨を誓約すれば、実際にそれらの要件を満たしていなくてもかまいませんでした。
ですが、この経過措置も令和7年3月末で終了しますので、社内制度を整備し、誓約により対応していたキャリアパス要件を満たす必要があります。

キャリアパス要件Ⅰ 福祉・介護職員について、職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件を定め、それらに応じた賃金体系を整備する。
キャリアパス要件Ⅱ

福祉・介護職員の資質向上の目標や以下のいずれかに関する具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会を確保する。

  a 研修機会の提供又は技術指導等の実施、福祉・介護職員の能力評価

  b 資格取得のための支援(勤務シフトの調整、休暇の付与、費用の援助等)

キャリアパス要件Ⅲ

  a 経験に応じて昇給する仕組み

  b 資格等に応じて昇給する仕組み

  c 一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み

 

令和7年3月末終了の経過措置の内容は以上です。
経過措置に対応するには就業規則改正等、社内制度の整備を行い、キャリアパス要件を満たす必要があります。次回の処遇改善計画書の提出までに準備を進めましょう。

処遇改善加算の取得は従業員の賃金向上のために重要な制度になりますが、キャリアパス要件以外にも月額賃金改善要件、職場環境等要件と多くの取得条件がありますし、毎年の計画書の提出、実績報告書の提出、取得した加算の配分、悩みと手間は尽きないと思います(毎年のように書類の様式も変わります)。
弊社では処遇改善加算の新規取得から計画書及び実績報告書の作成・提出等を行っておりますので、処遇改善加算にかかる手間を省きたい、取得方法がよくわからないなどありましたら、お気軽にご相談ください。